「外注費を削りたい」とマーケティングの内製化を急ぐと、思わぬ失敗を招くことがあります。
完全自社化に固執せず、外部パートナーとAIを賢く活用して利益を最大化する「ハイブリッド型」の進め方をご紹介します。
内製化失敗の最大要因は「完全自社化」への固執
多くの経営者がマーケティングの内製化を検討する際、その動機の多くは「コスト削減」にあります。
「広告代理店に支払う手数料20%を削減したい」「外注費を抑えて利益率を高めたい」という考えは経営判断として自然ですが、ここに大きな落とし穴があります。
昨今、デジタルマーケティングの領域は高度化・複雑化が進んでおり、一人の担当者が広告運用、SNS、SEO、動画制作、データ分析のすべてをプロレベルでこなすことは不可能です。
完全自社化を目指して経験の浅い担当者にすべてを任せた結果、CPA(顧客獲得単価)が高騰し、手数料削減分以上の損失を出して撤退するケースが後を絶ちません。
内製化における「見えないコスト」を正しく認識する必要があります。
採用コスト、教育コスト、最新情報のキャッチアップコスト、そして担当者が退職した際のリスク。これらを考慮せず、単に外注費と比較して内製化を進めるのは危険です。
成功する企業は、自社のリソースで「できること」と「できないこと」を明確にし、外部パートナーを賢く利用しています。
戦略不在のまま手法だけを内製化するリスク
内製化の失敗事例で最も多いのが、「作業」だけを社内に持ち込み、「戦略」が不在になるパターンです。
例えば、「Instagramの投稿を毎日社内で行う」と決めても、「誰に」「何を」「何のために」伝えるかという戦略設計がなければ、ただの作業になってしまいます。
戦略なき運用は、以下のような負のループを生み出します。
- 成果の定義が曖昧になる:
KGI/KPIが明確でないため、担当者は「フォロワー数」や「インプレッション」などの表面的な数字を追いかけ始めます。
結果、売上や利益につながらない施策に時間を費やすことになります。 - 担当者の疲弊と離職:
明確な指針がない中で「成果を出せ」とプレッシャーをかけられた担当者は、何を改善すれば良いかわからず疲弊します。
ノウハウが蓄積されないまま担当者が辞めれば、組織はまたゼロからのスタートとなります。 - 施策の分断:
広告はA担当、SNSはB担当、LPは制作会社といった具合に連携が取れず、一貫性のないメッセージを顧客に発信してしまいます。
これではブランドとしての資産が形成されず、LTV(顧客生涯価値)も向上しません。
失敗を防ぐ「ハイブリッド型」内製化のロードマップ
内製化を「0か100か」で考える必要はありません。
むしろ、難易度の高い戦略設計や専門性の高い初期構築はプロに任せ、運用フェーズやコンテンツ制作など、自社の強みが活きる部分から徐々に取り込んでいく「ハイブリッド型」が、最もリスクが低く確実な方法です。
当社ワンプロデュース株式会社が推奨するのは、外部パートナーを単なる「代行業者」ではなく、内製化に向けた「トレーナー」として活用するアプローチです。
まずは外部の知見を借りて「利益が出るモデル」を構築し、その勝ちパターンを社内に移植していく。
この順序を守ることで、売上を落とさずに組織を育てることが可能になります。
戦略設計から定着までを3フェーズで進める
内製化を成功させるためには、以下の3つのフェーズを段階的に進めることが重要です。
いきなりすべてを自社で行おうとせず、半年から1年程度の期間を見据えてロードマップを描きます。
- Phase 1:戦略設計・初期構築(外部主導 9:社内 1)
まずはプロの手で「勝てる構造」を作ります。
ターゲット選定、コンセプト設計、広告アカウントの構築、勝ちクリエイティブの制作など、高度な専門知識が必要な領域は外部に委託します。
この段階で社内担当者は、定例会への参加を通じて「なぜその設定にするのか」「どういうロジックで運用するのか」を学びます。
まずは成果を出すことを最優先し、社内には「ノウハウを見る」経験を蓄積させます。 - Phase 2:並走運用・ノウハウ移管(外部 5:社内 5)
成果が安定してきたら、徐々に実務を社内に移管します。
例えば、SNSの投稿作成や広告のレポート作成など、ルーチン化できる業務から担当者が手を動かし始めます。
外部パートナーは「先生役」となり、担当者が作成した内容を添削したり、分析の視点をフィードバックしたりします。
OJT(On-the-Job Training)形式で、実践を通じてスキルを定着させます。 - Phase 3:自走・高度な判断のみ外部(外部 1:社内 9)
日々の運用やPDCAは社内で完結できる状態を目指します。
外部パートナーは「顧問」や「監査役」のポジションに移行し、月1回の戦略ミーティングや、媒体アルゴリズムの大きな変更時の対応、四半期ごとの戦略見直しなど、大局的な判断のみをサポートします。
これにより、コストを最小限に抑えつつ、社内だけでは気づけない視点を取り入れることが可能になります。
LTV最大化と利益構造改善こそが内製化の本質
なぜ、今内製化が必要なのでしょうか。
単に広告費を削減するためだけなら、内製化は推奨しません。
昨今のインフレによる原材料費や人件費の高騰に加え、Web広告の入札単価も上昇傾向にあります。
この状況下で利益を確保し続けるためには、新規獲得コスト(CAC)を下げるだけでなく、LTV(顧客生涯価値)を最大化することが不可欠です。
内製化の真の目的は、顧客とのコミュニケーションを自社に取り戻し、顧客理解を深めることにあります。
外部に丸投げしている状態では、顧客の「生の声」や「熱量」、細かい反応のニュアンスが社内に蓄積されません。
社内の人間が直接運用に関わることで、顧客のインサイト(深層心理)を肌で感じ、それを商品開発やサービス改善、次のマーケティング施策に即座に反映させるサイクルが生まれます。
当社は「短期PL改善 × 中期ブランド戦略 × 長期資産形成」の三層構造で企業成長を支援していますが、内製化はこの「長期資産形成」の中核を担います。
広告運用スキルやSNS運用ノウハウ、そして蓄積された顧客データは、企業のバランスシートには載らない重要な「無形資産」です。
この資産を社内に築くことこそが、外部環境の変化に強い、筋肉質な利益体質を作る鍵となります。
「少数精鋭+AI」の組織体制と外部活用基準
「内製化には専任のマーケティングチームが必要だ」というのは過去の話です。
AI技術の進化により、少人数のチームでも大企業並みのマーケティング活動が可能になりました。
これからの内製化組織は、人を増やすのではなく、AIエージェントを使いこなす「少数精鋭」の体制を目指すべきです。
データ集計、レポート作成、広告文の案出し、画像生成などのタスクはAIに任せることができます。
人間がやるべきは、AIが生成したアウトプットの良し悪しを判断する「意思決定」と、AIには生み出せない「独自の熱量やストーリー」の付加です。
当社でも、AIを活用することで工数を大幅に削減しつつ、戦略立案などのコア業務に時間を割くことで高いパフォーマンスを実現しています。
社内リソースと外部プロ人材の最適な役割分担
ハイブリッド型運用において、どこまでを社内でやり、どこからを外部に任せるべきか。
その判断基準は「自社の独自性が価値になるか」と「専門性の更新頻度」にあります。
- 社内リソースが担うべき領域:
「顧客との対話」「商品・サービスの深い理解に基づくコンテンツ制作」「熱量の伝達」は社内でしかできません。
また、日々のPDCAを回すための意思決定や、AIツールへの指示出し(プロンプト設計)も社内の役割です。
自社の強みや顧客の痛みを最も理解しているのは、外部の人間ではなく社員だからです。 - 外部プロ人材を活用すべき領域:
「媒体アルゴリズムの最新トレンド把握」「テクニカルな広告設定」「第三者視点での戦略監査」は外部に任せるべきです。
プラットフォームの仕様は頻繁に変更されるため、これらを社内ですべてキャッチアップするのは非効率です。常に複数の案件を扱っているプロの知見を「買う」方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなります。
マーケティングの内製化は、一朝一夕で実現できるものではありません。
しかし、適切なロードマップとパートナー選びによって、確実に企業の利益体質を変える強力な武器となります。
「完全自社化」という理想に縛られず、自社のリソースに合わせた現実的な「ハイブリッド型」から始めてみてはいかがでしょうか。
貴社の現状に合わせた最適な内製化プランや、具体的な移行ステップについてのご相談は、以下のオンライン無料相談より承っております。
また、当社の支援実績やサービス詳細をまとめた資料もご用意しておりますので、ぜひご活用ください。