広告を出しても商談につながらず、成果が出ないと悩んでいませんか?

本記事では、媒体選びの前に必要なBtoBマーケティング戦略を解説。LTVから逆算し、利益を残すための全体設計図をお伝えします。

媒体選びは最後。まずは「利益が出る構造」を定義する

広告を出稿する前に最も重要なのは、そのビジネスモデルが「広告費をかけても利益が残る構造」になっているかを確認することです。BtoBマーケティングにおいて、広告は「売れる仕組み」を加速させるアクセルですが、エンジンの燃費(利益率やLTV)が悪ければ、アクセルを踏むほど赤字が拡大します。

多くの企業が陥る失敗は、リード獲得数という「入り口」の数字だけを見て、その後の商談化率や受注後のLTVという「出口」の設計を疎かにすることです。特に検討期間が長く、決裁フローが複雑なBtoB商材においては、単発の刈り取り型広告だけでは限界が訪れます。私たちは「三方よし(売り手・買い手・世間よし)」の事業支援を信条としており、焼畑農業的な広告運用は推奨しません。まずは以下の3つの視点で、貴社のマーケティング構造を点検してください。

  • LTVの明確化:1社の顧客が平均してどれだけの利益をもたらすか(初期売上だけでなく、継続利用やアップセルを含む)を算出できているか。
  • 許容CPA/CACの再定義:LTVに基づき、利益を確保できる限界の顧客獲得コスト(CAC)と、そこから逆算したリード獲得単価(CPA)が設定されているか。
  • リードの定義:営業部門と連携し、「どのような状態のリードであれば商談化しやすいか」という質の定義が合意されているか。

短期PL改善と長期LTV向上を両立させる三層構造戦略

当社では、企業の成長を支えるマーケティングを「短期・中期・長期」の三層構造で捉えています。これらを同時並行で進めることで、足元のキャッシュフローを確保しつつ、将来的な広告依存度を下げる盤石な体制が構築できます。

  • 第一層:短期PL改善(広告運用の最適化)
    顕在層に向けたリスティング広告やリターゲティング広告により、即座に売上をつくるフェーズです。ここではAIを活用した入札戦略やLP(ランディングページ)の改善を行い、CPAを維持しながら獲得数を最大化します。当社の実績であるROAS 5300%のような数字は、この層の最適化によって生まれます。
  • 第二層:中期ブランド戦略(SNS・コンテンツ)
    広告だけではアプローチできない潜在層に対し、SNS(Instagram, X, YouTube等)を通じて認知と信頼を醸成します。BtoBであっても、決裁者は人間です。日頃からの接触頻度を高めることで、いざ検討段階に入った際の「第一想起」を獲得し、指名検索を増やします。これにより、中長期的にCPAを引き下げる効果があります。
  • 第三層:長期資産形成(内製化・ハウスリスト)
    獲得したリードやノウハウを社内資産として蓄積するフェーズです。外部パートナーに依存し続けるのではなく、社内にマーケティング組織を構築し、メルマガやホワイトペーパーによるナーチャリング(育成)体制を整えます。これが将来的なLTV向上と利益体質の基盤となります。

商談・LTVから逆算するBtoB広告の設計図とKPI

「リードは取れているが、商談につながらない」「アポは取れるが、受注に至らない」という課題の多くは、広告の設計図が「リード獲得」で止まっていることに起因します。BtoBマーケティングにおける真のゴールは、リード獲得ではなく「利益の創出」です。

そのためには、営業現場の「成約」から逆算した広告設計が必要です。例えば、決裁権を持たない担当者ばかりを集めるようなキーワードやクリエイティブで広告を出していないでしょうか。あるいは、「資料請求」というハードルの低いコンバージョンポイントしか設置しておらず、温度感の低いリードが大量に流入していないでしょうか。私たちは、ターゲット企業の規模、担当者の役職、抱えている課題の深刻度を想定し、そこから媒体やターゲティングを選定します。

  • ターゲットの解像度を高める:単に「製造業」とするのではなく、「売上50億以上、DX推進室があり、内製化に課題を持つ企業の部長クラス」まで具体化します。
  • 媒体の特性とマッチングさせる:決裁者にアプローチするならFacebookやLinkedIn、実務担当者にアプローチするなら検索広告やX(旧Twitter)など、ターゲットの属性に合わせて媒体を選定します。
  • クリエイティブでフィルタリングする:あえて専門用語を使ったり、価格帯を明示したりすることで、見込みのないユーザーのクリック(無駄なコスト)を防ぎ、質の高いリードだけを選別します。

CPA偏重から脱却し、ROASと成約益で評価する

多くの企業がCPA(顧客獲得単価)を唯一のKPIに設定していますが、BtoBにおいてこれは危険な指標になり得ます。CPAを安くすることだけに固執すると、広告代理店は「安く取れるが、質の悪いリード」を大量に集める運用にシフトしがちです。その結果、インサイドセールスの工数が圧迫され、組織全体での疲弊を招きます。

重要なのは、「1件の成約からどれだけの利益が生まれるか」という視点です。例えば、CPAが1万円でも成約率が1%なら、1成約あたりの広告費は100万円です。一方、CPAが5万円かかっても成約率が20%なら、1成約あたりの広告費は25万円で済みます。このように、後工程の歩留まりまで考慮したKPI設定が必要です。

  • KPIを「商談単価」や「受注単価」に設定する:リード獲得単価ではなく、商談1件あたり、受注1件あたりにかかったコストで広告効果を評価します。
  • パイプライン貢献額の可視化:SFA/CRMと広告データを連携させ、どの広告キャンペーンから生まれたリードが、いくらの商談パイプラインを生み出したかを計測します。
  • LTVベースのROAS管理:初回受注額だけでなく、平均継続期間やアップセルを含めたLTVを基に、広告費の回収期間と投資対効果(ROAS)を算出します。

広告・SNS・LPを統合し離脱を防ぐ全体最適化の手法

広告、SNS、LP、そしてインサイドセールスが分断されている状態は、穴の開いたバケツに水を注ぐようなものです。広告で興味を持ったユーザーがLPを見た瞬間に「期待と違う」と感じて離脱したり、SNSでの発信内容と広告のメッセージに矛盾があったりすれば、信頼は損なわれます。

当社は「全体最適にコミット」することをValueの一つとしており、部分的な改善ではなく、ユーザー体験(UX)の一貫性を重視します。広告のクリエイティブ(訴求内容)と、LPのファーストビュー、そして商談時の営業資料まで、メッセージに一貫性を持たせることが、コンバージョン率(CVR)と商談化率を最大化する鍵です。

  • メッセージの一貫性(Message Match):広告で「コスト削減」を訴求したなら、LPのヘッドラインも「コスト削減」で応える必要があります。ここで「機能の豊富さ」を訴求してしまうと、ユーザーは混乱し離脱します。
  • チャネル間の連携:SNSで日常的に発信している「企業の思想」や「開発ストーリー」を、広告のリターゲティング配信で活用することで、単純接触効果により信頼度を高めます。
  • LPO(ランディングページ最適化)の実施:ヒートマップ分析などを通じて、ユーザーがどこで興味を失っているかを特定し、改善を繰り返します。特にBtoBでは、信頼性を担保するための「導入事例」や「会社概要」の充実が重要です。

広告依存からの脱却:インフレに勝つ内製化と資産形成

冒頭で述べた通り、インフレ時代において外部コストは上昇し続けます。広告費も例外ではなく、入札単価の高騰は避けられません。この状況下で、広告代理店に全てを丸投げし続けることは経営リスクとなります。

「Make Japan No.1 Again」をビジョンに掲げる当社では、最終的にはクライアント企業が自走できる状態、つまり内製化こそが最強のコスト削減であり、利益体質への転換点であると考えています。広告はあくまで初速をつけるためのブースト装置であり、長期的にはオウンドメディア、SNSアカウント、ハウスリスト、そして社内のマーケティング人材といった「資産」で集客できる構造を目指すべきです。

外部依存を減らし、社内に「売れる資産」を蓄積する

内製化とは、単に広告運用を社内でやるということではありません。顧客の声を直接拾い上げ、それを商品開発やマーケティングメッセージに即座に反映できる「組織能力」を身につけることです。当社が提供する内製化支援や研修は、ツールの使い方を教えるだけでなく、戦略設計からPDCAの回し方まで、マーケティング思考そのものを移植することを目的としています。

  • ノウハウのブラックボックス化を防ぐ:代理店任せにすると、どのような訴求が当たったのか、なぜ失敗したのかという「知見」が社内に残りません。内製化、あるいは伴走型の支援を通じて、知見を社内資産として蓄積します。
  • スピード感の向上:社内に運用体制があれば、市場の変化や競合の動きに対して、即座にクリエイティブを変更したり、予算配分を変えたりといった対応が可能になります。
  • コンテンツ資産の構築:社員自身がSNSで発信したり、ブログを書いたりすることで、広告費をかけずとも集客できるコンテンツ資産が積み上がります。これはインフレの影響を受けない、永続的な集客チャネルとなります。

BtoBマーケティングにおける広告戦略は、単なる「枠の買い付け」ではありません。それは、誰に、何を伝え、どのようにして企業の利益に変えるかという、経営そのものです。

もし、現在の広告運用が「CPAの安さ」や「リード数」だけの議論に終始しているのであれば、一度視座を上げ、LTVと利益構造から全体を見直すタイミングかもしれません。

ワンプロデュース株式会社では、貴社の現状の課題に合わせ、戦略設計から広告・SNSの実装、そして将来的な内製化までをワンストップで支援します。「広告費をかけても利益が残らない」「マーケティング組織を強くしたい」とお考えの経営者様は、ぜひ一度当社の無料相談をご利用ください。貴社の利益を最大化するための設計図を、共に描きましょう。